Pleasure社会保険労務士事務所です。
ご覧いただき誠にありがとうございます。
面接時に聞いたらNGなことって、実はたくさんあります。
何気なく聞いた事や、アイスブレイクのつもりだったのに、
あとからクレームになった・トラブルになったという事例もございます。
では、どんなことはNGなのか?
一言でいうと「本人に責任のない事項、本来自由であるべき事項(思想・信条)」です。
厚生労働省では、以下の2点を基本的な採用選考の考え方としています。
●「人を人として見る」人間尊重の精神、すなわち、応募者の基本的人権を尊重すること
●応募者の適性・能力に基づいた基準により行うこと
プライベートなことや、家族のこと、
憲法に規定されている人権を侵害するような質問はできないということになります。
※出典元:厚生労働省 ●特設サイト:公正な採用選考を目指して
公正な採用選考をめざして | 厚生労働省 (mhlw.go.jp)
面接時に不適切な質問について、具体的に見ていきましょう。
<本人に責任のないこと>
1. 本籍・出生地に関すること
本人の責任ではないため聞いてはなりません。
出生地は選考に関係がないからです。
また、「戸籍謄(抄)本」や本籍が記載された「住民票(写し)」を提出させることはこれに該当しますので注意です。
【NG質問例】
・出身はどちらですか?
・両親の出身はどちらですか?
・ずっとこの住所に住んでいますか?
・兄弟姉妹はいますか?
2. 家族に関すること
こちらも配慮すべき事項とされています。
家族構成・家族の職業・健康状態等を聞くのはNGです。
【NG質問例】
・ご両親の職業を教えてください。
・ご両親は健在ですか・健康ですか?
・家族構成を教えてください。
3. 住宅状況に関すること
住宅の間取り・物件の種類・周辺の施設等はプライバシーに関わることであり、仕事には関係ないものです。
※近年、テレワークを行うにあたって、一人で仕事できる環境が確保できるかどうか確認することもありますが、配慮が必要になります。
【NG質問例】
・お住まいは賃貸ですか?持ち家ですか?どなたの所有ですか?
・戸建てですか?マンション・アパートですか?
・ご自宅は何部屋ありますか? 等
テレワークで個人情報保護を理由に、一人で作業できる・音が漏れない環境がどうか確認する際には、
【✓ 個人情報保護のため、家族等に干渉されない一人で作業できる部屋は確保できるか】
等、チェックリストを作成してご本人に判断してもらい、誓約書を取得するのが良いでしょう。
4. 生活環境・家庭環境などに関すること
面接時は、個人の生活環境や、家庭環境に関することも配慮事項となります。
場を和ませようと、こういった質問等をしてしますと後々トラブルにもなりかねません。
【NG質問例】
・家業はありますか?
・跡継ぎですか?
・母子・父子家庭ですか?
<本来自由であるべき事項(思想・信条にかかわること)>
5. 宗教に関すること
信仰宗教のヒアリングはNGです。
憲法20条にも「宗教の自由」を認めています。
宗教を選考材料にするのは大きな問題になりますので注意が必要です。
【NG質問例】
・信仰している宗教はありますか?
・聖書を読みますか?
・神様を信じていますか?
6. 思想に関すること
憲法19条にも定められている「思想の自由」も個々の自由であり、採用面接では配慮すべき事項になります。
選考採用の材料にするのは、憲法で保障された人権を侵害することになりますので注意してください。
特に世の中をどう思っているか、といった個々の価値観のみで仕事に繋がらない質問は避けるべきです。
もし質問するときは、「どのような姿勢で仕事に取り組みたいですか?」「同僚と一つの仕事を完成させるために、どのように行動したいですか?」といった内容が適しているのではと考えます。
【NG質問例】
・今の日本についてどう思いますか?
・これからどのような思想で生きていきますか?仕事をしますか?
7. 支持政党に関すること
支持政党や政治への考え方も自由です。
採用選考には不要な事項ですから質問は避けてください。
【NG質問例】
・支持政党はありますか?どの議員を応援したいですか?
・今の政治についてどう思いますか?
・どの政党に投票しましたか?家族の支持政党はありますか?
8. 購読新聞・雑誌・愛読書などに関すること
面接時に聞きやすい質問ですが、こちらも個々の自由なことですから配慮が必要です。
【NG質問例】
・なんの新聞を読んでいますか?
・好きな本はありますか?
例えば会話の中で、相手から「この本が好きなんです!」「この本で考え方を養ったんです」といった話が出てきましたら、アイスブレイクの一つとして会話しても問題ありません。
私も面接の際に、いろいろ話してくださる方とは楽しく会話をさせていただきました。
9. 尊敬する人物に関すること
こちらも良く聞かれる質問でしたが、最近は配慮が必要であるとされています。
個人的には、思想・政治・宗教にも関わりかねない可能性がありますから、配慮事項になったのかと思います。
【NG質問例】
・尊敬する人は誰ですか?
余談ですが、私がこの質問をされたら、「親・祖父母・友人」と自信をもって答えますね。
昔は面接時に聞いて、悪い反応されたり、トラブルになったことはありませんでしたが、時代は変わったなとつくづく思います。
長くなりますので後編に進みます。
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2024.08.28
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